音楽保存サービス:ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁

音楽保存サービス:ストレージ利用は著作権侵害 東京地裁−今日の話題:MSN毎日インタラクティブ
インターネット上にデータを保存する「ストレージ」を利用し、ユーザーが自分のCDなどの音楽データを保存、いつでも携帯電話にダウンロードして聴けるサービスの提供が著作権侵害に当たるかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁(高部真規子裁判長)は25日、著作権侵害に当たるとの判断を示した。


刺激的な判例が出たようです。はてブなんかみてるとネット上での印象が見えてきます。

私の意見は、ネット上での意見とは大きく違ってまして、著作物に対する畏敬の念を忘れたサービスは駆逐されるべきですので、法律的にどうこう言う前に、妥当な判断だと考えます。著作物を扱う専用のサービスを開発して、そこでお金を稼ごうってのに、そこで利用される著作物に対しては一切お金を払いませんってのは、社会通念上悪です。(専用のサービスであるかどうかが問題になるため、全てのストレージサービスが影響受けるってのは、大きく間違ってます。誰がこんな勘違いをさせたんだろうと思ったら、GIGAZINEさんだったみたいです。GIGAZINEさんの記事のはてブも興味深かったです。)
#理解のための早道として「私的録音録画補償金制度」ってのを読んで見るといいかも

ちなみに、今回の判例の一番大事な点はお金を稼いでいるかどうかです。今後、お金を稼いでいないサービスが出てきたときに、JASRACは動くことができなくなりますし、裁判所の判断も大きく変わってくるでしょう。そこがターニングポイントじゃないですかね。インターネットは、結構色んな見えないところでコストがかかるので、そこらへんをクリアしない限り、今の現状は変わらないでしょう。

今日テレビで近江商人の「三方よし」という考え方を聞いて「ふむふむ、なるほど」と思っていつか使ってやろうと思ったのですが、早速使う場所が出てきました。商売するからには、この精神を忘れたら駄目ということですよね。

無断リンクと著作権の関係

また無断リンクネタかっ!









というわけで、無断リンクと著作権の関係について考えてみます。但し、「無断リンクは著作権を侵害してない」という考察ではなく、敢えて「無断リンクは著作権を侵害している」という論証を試みてみます。

まずは、著作権とは何か、そして著作権法は何のためにあるのかから考えてみます。


■著作権とは?
英語で表現するとCopyrightということからも分かるように、一番初めは「複製」する権利のことを指していました。この複製する権利というのは、グーテンベルグが活版印刷を発明し、安価に複製を作成することができるようになってから、初めて問題になりました。

そのあたりについては、長々と話すといくらでも書けるのですが、そのあたりはWikipediaの著作権の項目に任せるとして、現在の著作権とは「著者が自分の作品を自由に扱うことができること」だと考えていれば、ほぼ間違いはありません。


■著作権法とは?
そして、著作権法とは上記の著者の権利を守ることによって、創作するためのインセンティブ(誘因)の付与を狙い、それによって文化の発展に寄与することを目的としています。

(私なりの言葉にしてみましたが、著作権法の第1条を読んだ方が分かり易いかもしれません。)


■今回の論点は複製権
さて、今回は複製権に目を向けてみます。では、インターネットの世界において複製権とは何なのでしょうか?

基本的にインターネットの世界において著作権の定義といえば、日本の著作権法では「公衆送信権」とか「送信可能化権」とか言われており、複製権というのは耳にしません。

というのも、インターネットにおいては、純粋な「複製権」を保護することはできないと考えられているためです。例えば、私のこの文章を表示するためには、読んでる貴方のマシンに文章の複製が作成されていますし、他にも代理サーバー上に残っているかもしれません。厳密に複製に対して権利を行使するのであれば、貴方のマシンや代理サーバーの中身まで私がコントロールしてもよいことになります。

しかし、これは明らかにおかしいです。私が著作権者だとして、そんなところまでは権利を濫用する気にはなりませんし、それが通常の感覚だと思われたのでしょう。インターネットの世界においては、複製権ではなく前述の公衆送信権という新しい権利が作成され、現在の著作権法に盛り込まれています。

この複製権や公衆送信権というのは、著作物自体の動きを見たときには、どの部分に該当するかというと「流通」の部分になります。(ここ、ちょっとだけ論旨が飛躍してます。上手く説明できる自信がないので省略します。)

実は、今回の考察の一番のポイントはココです。複製権を重視してきたのは、それまでは流通部分を抑えることで著作者の権利を適切に保護できていたのです。

ですが、インターネットの登場により適切に保護できなくなりました。それはインターネットの世界では、基本的に流通の部分に「実体」がないためです。


■で、リンクとは?
では、リンクとは何に当たるのでしょうか?ココまでの話の流れを追ってきたら分かると思いますが、インターネットにおける「流通の実体」部分だと考えられなくもないです。

流通部分を抑えて複製を適切にコントロールすることを複製権の肝心な箇所だと考えると、無断リンクとは無断複製に置き換えることができるという可能性を残していると言えるでしょう。


■結論
色々書いてきましたが、全て私の妄想に過ぎず、今現時点の著作権法では、無断リンクすること自体で他者の著作権を侵害することにはなりません。

ですが、著作権は年々強化されています。例えば「私的録音録画補償金制度」なんて制度が拡大しつつある事実からも分かります。

この情勢の中で、一旦流通部分から目をそらすことで成立した「公衆送信権」の見直しが行われ、複製権を適切にコントロールできる可能性として「リンク」に目が向くというのは可能性としてなくはないでしょう。

なんで上記のような可能性がなくはないと思うかというと、リンクを辿るという行為を冷静になって傍目から見た場合、リンクを辿って見ているコンテンツは「リンク元とリンク先がつながりのあるコンテンツ」と見えなくもありません。そうすると、他者の著作権を侵害していると考えることができるためです。







誰ですか。「そんなこと言っても、インターネットはリンクこそが成立要件だ」みたいなことを言う人は。そんなのは100も承知です。その上で、敢えて著作権法に絡めて話を進めてみました。

まあ、無断リンクする方もされる方も、もうちょっと冷静になりましょう。リンクという行為自体が変な方向に行っちゃうと悲しいですし。

そして、実は可能性として、別の可能性も考えています。それは、無断リンクすることでリンクを辿ってgoogleがキャッシュに複製してしまいます。そうすると、無断リンクというのは、複製権の侵害を幇助してるという可能性が出てくるんじゃないかという考察です。

まあ、これはgoogleのキャッシュや検索結果というのは「フェアユース」だというgoogleの言い分を跳ね除けた上で初めて成立する要件になります(日本にフェアユースの概念はありませんが^^;)し、なんだかgoogleを神格化しちゃいそうで個人的に面白くないです。

YouTubeにおける著作権の問題について

YouTubeを使ったテレビ番組の『引用』の合法性に関する一考察
(http://blog.japan.cnet.com/nakajima/archives/002994.html)


「YouTubeを使ってTVをキャプった動画の共有する」状態に対して、「著作権」という視点から様々な意見が出てきている中の一つの記事です。

元記事から細かく引用しながら言及したくなったのですが、書き始めたらめんどくさくなったので、著作権法の目的と引用に関する重要な点だけを書いておきます。

著作権法の目的については、一番分かり易い著作権法から引用します。

第一節 通則
(目的)
第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。


これ以上の説明は要りません。次、引用の重要な点です。引用についても、とりあえず条文を引用します(なんだかややこしい)。

第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。


というわけで、著作権法の目的にそった形で引用を理解するとすれば、引用は報道や批評や研究といった、著作物を利用して「文化の発展に寄与」することを期待されています。

それを考えると、「これは著作権者の利益になるから引用として認められる」なんてことは、とてもじゃないけど口に出せません。

というか、引用の条文を読めば分かりますが、例え著作権者の不利益になったとしても著作物を利用できる事を指して「引用」と呼ぶのであり、「著作権者の利益になってるから」なんて理由で「引用である」なんて論旨にはしない方が良いでしょう。

今のYouTubeの使われ方は、著作権者が著作物を頑張って作っていこうと思わせる(=文化の発展に寄与)ような流れにはありません。逆に、「自分が作った著作物を勝手に使われる」という、著作権法が出来る以前の状態になっているだけです。

そして、一番大事なのですが、「それが著作権者の利益になってるから良い」というのでは、利益にならなくなった瞬間に潰されます。(そういったコントロールを権利者ができるようにしたというのが著作権法なわけですが。)

著作権について引き続き考えて行くのであれば、何故著作権法が出来たのか、著作権法が守っているのは何なのかをもう一度考えて欲しいです。

■蛇足
元記事に対して上記記事をトラックバック送信しようと思い、念のためトラックバック一覧の記事を全部読んだのですが、その中で一個だけ面白い記事発見しましたのでリンクしておきます。ぜひ読んでみてください。

中島氏、薪をくべる

JUGEM IT! from je-pu-puサムネイル問題まとめ@Wiki - トップページ

je-pu-puサムネイル問題まとめ@Wiki - トップページ

上記のような問題が発生してるようです。Googleイメージ検索と同じレベルの話だと思うんですが、「フェアユース」という概念の無い日本の著作権法において、果たしてこれらの行為が許されるのかどうか。とても微妙な線です。

それは、サイトのサムネイルを作成するサービスだったり、公開型RSSリーダーについても同じことが言えたりします。

うーん、ややこしいなぁ。

著作権とかの話

ココログの方があまりに重くて書けないので、急遽こっちで。

ネットで暮らすということというtakoponsさんの記事でリンクされているサイトにとんでもない記述がありました。

とほほの著作権入門(http://www.tohoho-web.com/wwwcopy.htm 著者:杜甫々さん)

■ 無断リンクはOK?
灰色。「このページへのリンクを禁止します」と明記されていても、リンク自体は法律的違反ではないという話を聞きました。ただし、リンク先の内容が自分の著作の一部として誤解されるような形式でのリンクは盗用になります。


この記事を根拠に「無断リンクは駄目!」と言ってるブログ管理者が居るようで、はてなでははてなブックマークの注目URLに上がったりするほど賑わしているようです。

参考:http://b.hatena.ne.jp/entry/http://reins3.exblog.jp/2396712

何処の誰だか分からない人の解釈のみを根拠にするという観点も理解できないのですが、引用した文章内の「リンク先の内容が自分の著作の一部として誤解されるような形式でのリンク」ってのも全く理解できません。これって、どんなリンクなんですかね?せめて具体例があれば良いんですが。

まあ、著作権法を読む限り「無断リンクで著作権を侵害する」ということはありません。というか、著作権を侵害してるというなら何処がどう著作権を侵害してるか証明せなあかんでしょう。侵害してないことを証明するのは侵害してることを証明するより極端に難しいわけですから。

だから、無断リンクした側は糾弾されても、「で、何か?」なんて対応ができるわけですよ。本当に無断リンクされたくないなら、こういう輩(私も含めて)を納得させる説明をしてあげれば良いだけです。


さて、ココで考えないといけないことは、法的には問題がないわけですが、これだけ何度もこのネタで論争が行われるということは、「無断リンクされたくない!」という要望は確実にあるわけです。この要望を忘れてはいけないと思います。
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